施工事例

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築後30年のショッピングモール店舗内天井漏水対策工事

施工概要

2024年5月、築30年を迎えたショッピングモール内の店舗において、天井からの漏水が発生しました。この店舗は鉄骨造の平屋建てで、屋上は自走式駐車場として利用されています。屋上の防水はアスファルト防水が施され、その上に抑えコンクリート仕上げが施されています。漏水の原因とその対策について、以下に詳しく説明します。

漏水状況

店舗内の天井から漏水が確認されたことにより、早急な対策が求められました。漏水の発生は、顧客や従業員にとって安全上の問題を引き起こすだけでなく、店舗の運営にも大きな影響を及ぼすため、迅速な対応が必要でした。

店舗の中心に漏水
店舗内に設置されているバケツ

建物の構造

このショッピングモールは、鉄骨造の平屋建てであり、屋上は自走式駐車場として設計されています。屋上の防水層はアスファルト防水が施されていますが、その上にコンクリート仕上げが施されているため、直接的な補修が難しい状況です。このような構造により、漏水の原因を特定し、適切な対策を講じることが重要となります。

漏水の原因

漏水の原因は、デッキプレートの吊りボルト用に誤って開けられた穴からのものでした。この穴から水が侵入し、アスファルト防水層の破損または劣化が進行している部分から水が回り込み、店舗内に漏水したと考えられます。アスファルト防水層が劣化している場合、通常はその部分を補修することが望ましいですが、押さえコンクリートが上にあるため、直接的なアクセスが困難でした。

施工方法

このような状況において、私たちは浸透性防水材「シリカプロ」(ケイ酸カリウム系)を使用した止水工事を実施しました。シリカプロは、コンクリートに浸透し、内部で化学反応を起こすことで防水効果を発揮します。

施工手順

  1. 目地の撤去: 漏水箇所の上部にある自走式駐車場の床目地を撤去しました。この作業により、シリカプロを流し込むためのアクセスを確保しました。
  2. シリカプロの注入: 撤去した目地からシリカプロを流し込みました。この浸透性防水材は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、不溶性のゲルを形成します。この反応により、コンクリート内部の空隙や微細なクラックが充填され、水の侵入を防ぐことができます。
  3. 広範囲への適用: 漏水の原因となるアスファルト防水の破損箇所を目視で特定することが困難であったため、広めにシリカプロを流し込むことで、漏水を防ぐ効果を高めました。
保護コンクリートの目地を撤去
目地の中にケイ酸カリウム浸透性防水材を注入

施工の特徴と利点

本工事の特徴は以下の通りです:

  • 非破壊的アプローチ: 既存の構造を大きく損なうことなく施工が可能で、店舗の運営に対する影響を最小限に抑えました。
  • 広範囲への対応: 漏水の原因特定が困難な場合でも、広い範囲に適用できるため、効果的な止水が期待できます。
  • 長期的な効果: シリカプロの浸透性により、持続的な防水効果が期待でき、長期間にわたって安心して店舗を運営できます。
  • コスト効率: 大規模な改修工事と比較して、経済的な解決策となるため、予算の制約がある場合でも実施しやすい方法です。

施工結果と今後の展望

本工事により、漏水の原因を特定することなく、効果的に止水することができました。シリカプロの浸透性と反応性を活かすことで、コンクリート構造自体に防水性能を付与し、長期的な漏水対策を実現しました。今後もこのような革新的なアプローチを通じて、他の建物における漏水問題の解決に貢献していきたいと考えています。この施工事例は、既存建築物の漏水問題に対する新たな解決策を示しており、同様の課題を抱える他の建物にも応用可能な手法となります。浸透性防水材の特性を活かした本工法は、従来の防水工事では対応が難しいケースにおいても、効果的な選択肢となることを実証しています。