店舗付き立体駐車場の止水・防水工事

概要

大手スーパーの店舗上に位置する自走式駐車場において、既存のFRP防水の劣化による雨漏り問題を解決するため、ケイ酸カリウム浸透性防水材を用いた防水改修工事を実施しました。この事例は、従来のFRP防水の課題を克服し、長期的な防水性能と維持管理コストの削減を実現した革新的なアプローチを示しています。

既存FRP防水の問題点

FRP防水は耐水性や強度に優れた防水工法として広く使用されてきましたが、以下のような問題点が指摘されています：

1. 紫外線への耐性が低い
2. 伸縮性が低くひび割れが起きやすい
3. 経年劣化による防水機能の低下

本事例では、FRP防水の破断により、防水層の下に水が回り込む現象が発生していました。この水が熱で膨張することで、コンクリートに接着していたFRP防水を浮かせる結果となり、店舗内の3か所で雨漏りが確認されました。

従来の補修方法とその限界

一般的なFRP防水の補修方法には以下のようなものがありますが、いずれも根本的な解決には至りません：

1. 破断部分付近のシーリング処理
2. FRP防水のコンクリートへのビス固定

これらの方法は一時的な対処療法に過ぎず、FRP防水の根本的な問題である紫外線劣化や伸縮性の低さを解決することはできません。

ケイ酸カリウム浸透性防水材を用いた改修工事

本事例では、従来のFRP防水に代わり、ケイ酸カリウム浸透性防水材を採用しました。改修工事の流れは以下の通りです

ケイ酸カリウム浸透性防水材の利点

ケイ酸カリウム浸透性防水材には、以下のような優れた特性があります：

1. 紫外線耐性: 紫外線による劣化がないため、長期間にわたり防水性能を維持できます。
2. コンクリートへの浸透性: 材料がコンクリート内部に浸透するため、表面的な防水層ではなく、構造体そのものの防水性能を向上させます。
3. 耐久性: FRP防水と比較して、長期間の防水効果が期待できます。
4. メンテナンス性: 将来的な防水改修工事の際、FRP防水のような劣化した防水膜の撤去作業が不要となり、工事費用を大幅に削減できます。
5. 環境負荷の低減: 有機溶剤を使用しないため、環境にやさしい工法です。

長期的なメリット

1. コスト削減: 初期投資だけでなく、長期的な維持管理コストも抑えることができます。
2. 耐用年数の延長: 建物の耐用年数を延ばすことができ、資産価値の維持に貢献します。
3. 安全性の向上: 雨漏りによる構造体の劣化を防ぎ、建物の安全性を高めます。

まとめ

ケイ酸カリウム浸透性防水材を用いた本改修工事は、従来のFRP防水の課題を解決し、長期的な防水性能と維持管理コストの削減を実現します。