超難関漏水現場の止水(自走式駐車場スロープからの漏水)

超難関漏水現場の止水(自走式駐車場スロープからの漏水)

2024年5月、築後30年を経過したイオンモールの屋上駐車場のスロープにおいて、漏水を止水する工事を行いました。このスロープの下には倉庫があり、すぐ横には休憩室が配置されています。雨漏りの水が休憩室の天井に落ち、室内に漏水している状況でした。

漏水状況(漏水した水で断熱材がはがれています)

漏水の難しさ

漏水しているスロープを止水するのは非常に難しい作業です。その理由として、スロープが鉄骨造であり、非常に揺れがある場所であることが挙げられます。現場では、アスファルト防水の上に保護コンクリートが打設されており、防水層のどこが劣化や破損しているのか全く分からない状態でした。一般的に、伸縮目地の上に塗膜防水を施すことがありますが、これはほとんど意味がありません。なぜなら、アスファルト防水と保護コンクリートの間には常に水が存在し、その水がどこから入っているのかが特定できないからです。

シリカプロ(ケイ酸カリウム浸透性防水材)を流し込むための目地撤去

最適な止水方法

現在考えられる最も効果的な止水方法は、ケイ酸カリウム浸透性防水材を保護コンクリートの目地から流し込むことです。シリカプロ(ケイ酸カリウム浸透性防水材)は、アスファルト防水と保護コンクリートの間に浸透し、アスファルト防水の劣化や破損している部分から入り込んで、コンクリートと反応し水路を閉塞させて止水します。

シリカプロ(ケイ酸カリウム浸透性防水材)を注入

作業のポイント

作業のポイントは、防水層の破損している部分にシリカプロをいかに行きわたらせるかです。シリカプロは、浸透性が高く、時間をかけて防水層全体に行きわたることで、効果を発揮します。施工後はシリカプロに任せるしかありません。

施工後の経過

この現場の施工は5月に行いました。6月に電話で確認したところ、雨漏りは止まっていないと言われました。しかし、7月に現地に行って確認すると、この数週間の間に豪雨が何度かあったにもかかわらず、漏水していないことが確認されました。このことから、時間をかけてシリカプロが行きわたり、漏水箇所の止水が完了したことがわかります。

まとめ

今回の施工では、ケイ酸カリウム浸透性防水材を使用することで、難しい漏水現場でも効果的に止水できることが証明されました。スロープのような揺れがある場所でも、シリカプロは浸透性と反応性を活かして、確実に漏水を止めることができます。今後も同様の現場において、この方法を活用していく予定です。このように、シリカプロは難しい漏水現場でも効果を発揮する防水材として、今後ますます活躍が期待されます。